豊島区の「ワンルームマンション規制」
相談カテゴリ: 法律・規制
ワンルームマンション規制の背景
最近のニュースを見ていますと、億ションと呼ばれる超高級マンションが発売と同時に完売となるケースが増えています。
これは企業の資産リストラの一環として遊休地の処分が進んだことから、都内の好立地でマンションの建設ラッシュが加速化していることによるものです。
その一方で、ワンルームマンションにも人気が集まっており、ワンルームマンションの場合、購入者が住むのではなく、第三者に貸し出して賃料収入を得るという投資目的で購入するケースが多くなっています。
都心は学生が多いことから、ワンルームマンションの需要は底堅いものがあります。しかし、ワンルームマンションの増加は、地域の子供を減少させるとともにコミュニティの希薄化という問題を招いています。
そのため都心各区でワンルームマンションの規制が次々と打ち出されています。
その一例として、豊島区では平成15年12月に「狭小住戸集合住宅税」の条例を制定し、平成16年6月1日から施行しました。
これまで、千代田区や中央区、葛飾区のようにマンションのような大規模住宅に対して一定割合以上の家族向け住戸を義務付ける動きはありましたが、税金という形で強い姿勢を打ち出したのは豊島区が初めてでしょう。
平成10年住宅・土地統計調査によると、豊島区内の住宅は約125,000戸ありますが、その40%以上が30㎡未満です(下図参照)。
その結果、全世帯に占める単独世帯は56%と23区で一番高い割合となりました。その一方で、子供をもつ世帯は26%まで減少したことから、豊島区としては将来の街づくりに強い危機感を抱いていました。
狭小住戸集合住宅税について
豊島区の狭小住戸集合住宅税は、専用面積29㎡未満の狭小住戸が9戸以上の場合、建築主が1戸につき50万円支払うというものです。長く営業している不動産業者によると、建築主の側でも29㎡未満の住戸を8戸までにおさえることで、課税されないように工夫する動きが出てきたということです。
豊島区では、今春も小学校が一校統合しており、来年以降も中学校の統合が予定されています。狭小住戸集合住宅税導入により子供を持つ世帯の定着が確認されれば、今後、同様の税を制定する自治体が続くことも考えられます。
更新日:2010年9月9日