事故物件について
いくら安いからといっても、過去に殺人事件や自殺があった部屋にだったら、あなたは借りますか??
それを知らされていなくても、不動産を買う時もしくは借りる時、周辺の相場と異なり、異様に安い価額で募集されていると、裏に何かあるのでは?と疑ってしまうのが人間の心理です。
一方、売主はそうした事件のあった部屋を十分に清掃し、以前となんら問題なく施したのだから、事故物件であることは誰にも言わずに処分したいと思っています。
さて、売買契約成立後に事故物件であることを知った場合、それを理由に契約を解除することができるのでしょうか。
過去に実際にあった例
AさんはBさんから中古のマンションを買いました。しかしその直後、6年前にBさんの妻がマンションで首吊り自殺を遂げたことがわかりました。
Aさんはこれを隠れたる瑕疵だとして、契約を解除し、手付金の返還と違約金の支払いを求め、訴えを提起しました。裁判所は、この訴えに対し、Aさんの主張を認める判決を下しました。物理的瑕疵は無いものの、心理的欠陥が瑕疵にあたるとしたのです。
ただ裁判所は、人が亡くなった物件=瑕疵とは言っておらず、住み心地の良さを欠き、居住の用に適さないと判断されたためとしています。
勿論、人はいずれ亡くなるため、病死や自然死の場合には、心理的欠陥とは言い切れないようです。
この売買時、媒介した不動産業者は、事故物件であることを知ったものの、依頼人である売主の意を汲んで守秘しました。これは宅建業法という法律が定めた守秘義務に則った行動でした。
しかしながら、事故物件であることを秘匿し続けることは、瑕疵担保責任を負うことになり、例え、売主の秘密を漏らしたとしても正当化されると判断されたのです。
事故物件の契約解除
以上のことから、事故物件であることを理由に契約の解除はできるようです。
価格や賃料の安さに惹かれ、承知の上で住むことも可能です。物理的に瑕疵がある訳ではありませんので、なんら差し支えはありません。「気味が悪い」と主観的に感じてしまうか、安さにお得感を感じるかの違いなのでしょう。
ただ、注意していただきたいのは安い物件だからといって、勝手に事故物件だと思い込まないこと。怪しいと思ったらまずは不動産屋に訊くことです。
更新日:2013年5月24日