8年ぶりの上昇~平成28年地価公示~
平成28年3月22日、国土交通省から平成28年地価公示結果が発表されました。
全国の平均変動率は+0.1%となり、8年ぶりに上昇に転じています。
用途別に見てみると、住宅地で△0.2%(前年変動率△0.4%)、商業地+0.9%(同0.0%)、工業地0.0%(同△0.6%)となりました。
住宅地では依然下落となりましたが、下落率は縮小しています。
地域別に見ると、
東京圏 住宅地+0.6%、商業地+2.7%、工業地+1.6%
大阪圏 住宅地+0.1%、商業地+3.3%、工業地+0.4%
名古屋圏 住宅地+0.8%、商業地+2.7%、工業地+0.1%
となり、
三大都市圏では前年に引き続いて価格は上昇し、上昇率も拡大しています。
そんな中、地方中枢都市(※)の平均変動率では、住宅地+2.3%、商業地+5.7%、工業地+1.8%と三大都市圏を上回る上昇が見られました。
地価の上昇が地方の都市部にまで拡大していることが鮮明となっています。
(※北海道札幌市、宮城県仙台市、広島県広島市、福岡県福岡市)
ただ、主要都市を除くその他の地方では依然として全用途で下落傾向が続いており、都市部との間に格差が広がっていることが伺えます。
全国で最も価格が高かったのは、今年も中央区銀座の山野楽器銀座本店で40,100,000円/㎡、上昇率は+18.6%となりました。
畳1帖分で約6,600万円、1坪で約1億3千万円、車一台分のスペースを確保するだけでも約5億円くらい掛かってしまうという結果に。。
個別地点の変動率を見てみると、
全地点での上昇率トップは、大阪市の「大阪中央5-23(心斎橋筋2丁目)」で前年からの上昇率が+45.1%となり、驚異的な上昇率を示しています。
2位も同じく大阪市の「大阪中央5-19(道頓堀1丁目)」で、上昇率は+40.1%となっています。
上位10地点の内6地点が大阪市内で、他は名古屋市2地点、札幌市、金沢市がそれぞれ1地点ランクインしました。
東京都内の地点はトップ10には入ってきませんでした。ちなみに、都内での最も高い上昇率を示したのは中央区の中央5-2(銀座6丁目)の+22.9%でした。
上昇率の高いポイントは、デパートや小売店、量販店が建ち並ぶ商業地域に多く、高い購買意欲を持つ外国人観光客が集中して買い物に訪れるなどで店舗の収益性の上昇が要因となっていると考えられます。
住宅地に限ると、上昇率のトップは以外にも(?)北海道倶知安町の地点(倶知安-3:上昇率+19.7%)となりました。
スキーリゾートで有名なニセコに近い別荘地で、こちらも外国人による別荘地やコンドミニアム需要の高まりが背景にあると思われます。
その他、住宅地の上昇率上位7位までを北海道が占める結果となっています。
次に、東京都区部を見てみますと、
区部における各用途の平均変動率は、住宅地+2.8%(前年変動率+1.9%)、商業地+4.8%(同3.4%)、工業地+2.5%(同1.2%)となり、上昇率も拡大しています。
住宅地では、港区や中央区湾岸部の画地規模が大きい地点で10%を超える上昇が見られ、マンション需要の高まりが伺えます。
商業地では、都内上昇率上位10地点の内、8地点を中央区銀座のポイントが占めました。
ほかの2地点も、虎ノ門ヒルズに近い「港5-39(虎ノ門1丁目)」、伊勢丹、マルイ、ビックカメラと言った商業施設が集積する「新宿5-24(新宿3丁目)」がランクインしており、すべて15%を超える上昇率を示しています。
一方で、丸の内・大手町といったオフィス街の地点では上昇率は7%程度に留まっており、同じ都心の商業地でも店舗集積地との間で差が見られました。
東京オリンピックに向けて、更に店舗やホテルに対する需要は高まるものと考えられ、同様の傾向が続くと思われます。
更新日:2020年6月18日