路線価5年連続上昇~地価LOOKレポート「下落」観測~補正措置検討
国税庁は7月1日に、2020年分の路線価を公表しました。
全国の平均値(標準宅地の変動率)は前年比1.6%のUPとなり、5年連続の上昇となりました。
路線価は1月1日時点の評価額。
近年、景気回復や訪日外国人の増加によるインバウンド需要で地価の上昇傾向が続き路線価も上昇しています。
都道府県別の路線価の前年比変動率(標準宅地の平均値)は、首位は沖縄県の10.5%、次ぎに東京都が5.0%、宮城と福岡が4.8%と続き、全国でも訪日客が多く集まる観光地や再開発が続く都心部などの上昇率が高い傾向です。
ただ、堅調な結果となった路線価ですが、懸念されるのは基準日以降に猛威を振るった新型コロナウイルスの影響です。
相続税・贈与税の申告で土地の評価額の算定基準に用いられる路線価は、毎年1月1日を評価時点として、国土交通省が公表する公示地価の8割を目安に算出されています。
しかし、年の途中で地価が大幅に下落すると、路線価と時価のバランスが崩れることとなります。
実際、国土交通省より6月19日に公表された20年度第一四半期版(4月1日時点)の「地価LOOKレポート」によると、全体としては「穏やかな上昇」との見解を据え置いたものの、新型コロナウイルス感染症による影響により、平成26年第2四半期以来、6年ぶりの下落地区が見られ地価動向に明確な変化があらわれました。
下落した地区は4地区。「岐阜駅北口」「(高松)丸亀町周辺」「(横浜)元町」「(福岡)大濠」。
国税庁は実態と乖離した課税となるのを回避するため、新型コロナウイルスにより20%を超えるような大幅な下落があれば、従来手法に加えて新たな補正措置を講じる方針です。
また、都道府県地価調査や地価LOOKレポートの確認や独自に地価動向を調べるなど今後の地価の変動を注視し、10月以降にも補正手段を公表するようです。
更新日:2020年7月17日