平成29年地価調査について
平成29年9月20日、平成29年の都道府県地価調査の価格が発表されました。
概況はこちら
平成28年7月以降の1年間の地価は、全国平均では依然として下落しているものの下落幅の縮小傾向が継続しています。用途別では、住宅地は依然下落しているものの、下落幅は縮小、商業地は横ばいから上昇となり、工業地は下落から横ばいに転じました。
各圏域と用途ごとの変動率の一覧は以下の通りです。
全国の平均変動率は、住宅地 △0.6%(前年変動率△0.8%)、商業地 +0.5%(同±0.0%)、工業地 ±0.0%(同△0.5%)となりました。
前年度から下落率の縮小傾向が継続しており、上昇・横ばいの地点も全国的に増加しています。
三大都市圏をみると、住宅地は東京圏・名古屋圏で小幅な上昇が継続していますが、大阪圏では、2年連続で横ばいとなっています。商業地・工業地でも上昇基調は継続しており、特に大阪圏では上昇幅の拡大が見られました。
地方圏ではいずれの用途でも下落が継続していますが、札幌市、仙台市、広島市、福岡市の四市での平均変動率は、5年連続で上昇しており、上昇率も拡大が続いています。
全国で最も価格が高かった地点は、「中央5-13(銀座2丁目:明治屋銀座ビル)」で、1㎡当たり38,900,000円でした。昨年から500万円以上アップしており、年間上昇率は+17.9%となっています。バブル末期の平成2年と平成3年に記録した38,000,000円/㎡を上回り、過去最高価格となりました。
なお、同地点は地価公示の公示地との共通地点であり、平成29年1月から半年間の上昇率は+5.1%で、平成28年下期の伸びに比べると上昇率は鈍化しています。
全国で最も上昇率が高かった地点は京都府の「伏見5-1(伏見区深草稲荷御前町)」で+29.6%の上昇を示しました。
外国人観光客からの人気を背景に繁華性、店舗需要の高まりから、上昇率の上位10地点の内、5地点を京都市内の商業地が占める結果となっています。
下図は、東京23区の住宅地と商業地について、各区ごとの平均変動率を示した表です。
東京23区の住宅地を見ると、全体の平均変動率は+3.3%の上昇となり、前年の+2.7%から上昇率は拡大しました。
各区の変動率を見ると、前年上昇率が上位だった、千代田区、目黒区、中央区、港区では上昇率の縮小が見られました。変わって、荒川区、文京区、北区、品川区、豊島区等都心部に近接する区が上位に来ています。
都心部の上昇率に鈍化が見られる一方で、都心周辺区での上昇率の拡大が見てとれます。
地点ごとの変動率を見ても、上昇率上位地点の多くを荒川区、北区、足立区等の周辺区の地点が占める結果となっています。
東京23区の商業地を見ると、全体の平均変動率は+5.9%となり、前年の+4.9%から上昇率は拡大しました。
こちらは住宅地とは異なり、都心部に近い区が依然上位を占めています。中央区、目黒区、練馬区、大田区を除いて上昇率は拡大しており、杉並区が特に高い上昇幅を示しています。
地点ごとの上昇率を見ると、上昇率の上位3地点を銀座が占め、その他の上位地点も新宿区や渋谷区の高い繁華性・商業性を持つ地点が多く見られました。
最後に住宅地の平均変動率が1位となった荒川区について、その要因としては以下の点が挙げられます。
・荒川区全体について
(1)上野東京ラインの開通による効果
荒川区内から利用圏内の停車駅の1日平均乗車人員動向は以下の通りで、他の主要駅に比較して増加傾向が顕著です。
尾久駅(2015年度+9.2%、2016年度+1.9%)
日暮里駅(2015年度+3.5%、2016年度+2.9%)
南千住駅(2015年度+3.8%、2016年度+1.5%、その他TX線は2016年度+3.0%)
三河島駅(2015年度+4.9%、2016年度+1.9%、その他日比谷線は2016年度+3.0%、2015年度+2.9%)
cf.上野駅は2015年度-0.5%、2016年度+0.6%に留まっています。
(2)荒川区分譲住宅着工戸数の動向
国土交通省が公表する建築着工統計によれば、平成29年第1四半期においては、分譲住宅着工戸数が561件で、前年同期比96%、平成28年第4四半期においても前年同期比83%と高い伸びを記録しています。平成29年第1四半期における前年同期比では、23区内が+16.7%に対し、荒川区は+96.2%です。
新設住宅着工戸数を新設住宅着工戸数(持家、貸家、分譲、マンション)で見ると、23区が前年同期比+19.7%に対し、荒川区は+39.6%と、分譲住宅以外でも伸びが認められます。
(3)新築マンション発売価格
アットホーム(株)が発表する住宅マーケットインデックスにおける新築マンション発売価格は、
平成28年上期23区が+3.0%に対し、荒川区は+13.1%。
平成28年下期23区が△3.6%に対し、荒川区は+17.3%と突出しています。
・住宅地変動率1位の「荒川-1(南千住8丁目)」について
当該地点は白髭西地区市街地再開発事業により、広大に整備された居住環境の良好な住宅地域で、駅前再開発の商業施設からも整備された汐入公園からも徒歩圏で利便性を享受できます。
最寄駅である南千住駅では従来からの再開発に伴う商業施設に加えて平成28年5月に南千住4丁目にロイヤルホームセンター南千住店(延床9,886㎡、都内初)がオープンしました。
荒川2丁目では平成29年3月26日に60万冊の蔵書規模の中央図書館等から構成される「ゆいの森あらかわ」がオープンし、更に、国家戦略特区事業として都立汐入公園内に29年4月「にじの森保育園」が開設しました。
利便性とともに23区屈指の子育て充実エリアへと変貌しています。更に、平成30年4月には学童も汐入公園内に開設する予定です。
荒川区が子育て支援に力を入れていることと符合して、子育て世帯が流入する様子が新聞紙面などでも賑わせています。
更新日:2017年9月26日