土砂災害警戒区域について
・土砂災害とは
大雨や地震に伴う土石流・地滑り・がけ崩れ、また火山の噴火に伴う溶岩流・火砕流・火山泥流などにより人の生命や財産が脅かされる災害のことを土砂災害と称します。
・土砂災害防止法とは
土砂災害のおそれがある区域について、危険の周知、警戒避難体制の整備、住宅等の新規立地の抑制、既存住宅の移転促進等のソフト対策を推進しようとするものです。
「土砂災害警戒区域」
急傾斜地の崩壊等が発生した場合に、住民等の生命又は身体に危害が生じるおそれがあると認められる区域であり、危険の周知、警戒避難体制の整備が行われます。
「土砂災害特別警戒区域」
急傾斜地の崩壊等が発生した場合に、建築物に損壊が生じ住民等の生命又は身体に著しい危害が生ずるおそれがあると認められる区域で、特定の開発行為に対する許可制、
建築物の構造規制等が行われます。
・宅地建物取引における措置
売買、交換、賃貸の対象となる宅地または建物が「土砂災害警戒区域」内である旨について重要事項の説明を行うことが義務付けられています。
「土砂災害特別警戒区域内」内である場合、特別の開発行為において、都道府県知事の許可を受け取った後でなければ当該宅地の広告、売買契約の締結が行えず、当該宅地又は建物の売買等にあたり、特定の開発許可について重要事項説明を行うことが義務付けられています。
※土砂災害警戒区域に指定されていない場合であっても、都道府県が公表している基礎調査結果を調査し、土砂災害のおそれがあることが判明した場合、その旨を記載する必要があります。
・不動産鑑定士の実務上の措置
3月に公表された平成28年度地価公示から、鑑定評価書の法令上の規制等(その他の地域・地区等)において記載する事項となりました。
国交省のホームページ上で鑑定評価書の1ページ目は開示されており、これらイエローゾーンと呼ばれる法令上の規制等が地価公示の標準地の価格形成に対して影響があることを国民は知ることができます。
現在作業を行っている平成28年度地価調査においても同様の取扱いであり、東京都では同様に鑑定評価書の1ページ目が開示されます。都民は9月の公表時に自宅付近の基準地がイエローゾーンに入っていることによる価格水準なのかどうかを知ることができます。
・「土砂災害警戒区域」かどうかの調査方法
土砂災害警戒区域及び土砂災害特別警戒区域は、各都道府県のホームページ等で公表されています。
当該区域に指定されていない場合でも、都道府県が実施した基礎調査についての公表が義務付けられているので、基礎調査の結果について照会による回答も受けられます。
土砂災害は毎年のように全国各地で発生しており、私たちの暮らしに大きな影響を与えています。
その一方で新たな宅地開発が進み、それに伴って土砂災害の発生するおそれのある危険な箇所も年々増加し続けています。
そのような全ての危険箇所を対策工事により安全な状態にしていくには、膨大な時間と費用が必要となってしまいます。
そのような災害から人命や財産を守るため、土砂災害防止工事等のハード対策と併せて、危険性のある区域を明らかにし、その中で警戒避難体制の整備や危険箇所への新規住宅等の立地抑制等のソフト対策を充実させていくことが大切です。
今後、土砂災害警戒区域及び土砂災害特別警戒区域は、土地を評価するにあたり重要となります。
基礎調査実施状況については、今後も継続してモニタリングしていく必要があると思います。
参照:
国土交通省HP
http://www.mlit.go.jp/river/sabo/linksinpou.htm
全国における土砂災害警戒区域等の指定状況(H28.2.29時点)
http://www.mlit.go.jp/river/sabo/sinpoupdf/jyoukyou-160229.pdf
今回の熊本地震による土砂災害のおそれもありますので、付近の方々は十分お気を付け下さい。
(クリックで拡大)
九州地方 特に熊本県の住民の皆様へ緊急のお知らせ
http://www.mlit.go.jp/common/001127917.pdf
熊本地震により被災された方々、まだ余震も続く中、不安や恐怖が大きいとは存しますが、一日も早く日常生活が送れるようお祈り申し上げます。
更新日:2016年4月26日