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住みたい街第3位?「池袋」の魅力について

相談カテゴリ: お知らせ不動産鑑定士部屋探し

東京都宅地建物取引業協会豊島支部の広報誌「宅建としまNo.131」に、弊社代表が執筆したコラムが掲載されました。

住みたい街第3位?「池袋」の魅力について
有限会社つかさ不動産鑑定事務所
不動産鑑定士 佐藤麗司朗

 2014年3月、株式会社リクルート住まいカンパニーが行ったアンケート「2014年版みんなが選んだ住みたい街ランキング関東版20代~40代編」において、池袋が堂々第3位にランクインした。
 アンケートはインターネットによるもので、調査対象は関東(東京都、神奈川県、埼玉県、千葉県、茨城県)に在住する20歳~49歳の男女総計3,000人(シングル男性500人、シングル女性500人、DINKS男性500人、DINKS女性500人、ファミリー男性500人、ファミリー女性500人)である。
 アンケートにおける質問は3つ。「あなたが、今後住んでみたいと思う沿線はどこか」、「あなたが今後住んでみたいと思う街(駅)はどこか」、「あなたが今後住んでみたいと思う行政市区はどこか」で、各沿線、各街(駅)、各行政市区ごとに各々上位3つを回答してもらい、得点を合算してランキングを作成するというもの。
 ランキング第1位は吉祥寺(JR中央線)で、第2位は恵比寿(JR山手線)であった。この池袋より上位にある2つは、昨年2013年の調査でも1位、2位を獲得しており、大番狂わせはない。しかしながら、池袋は昨年の調査では13位であり、大きく順位が上昇している。さて、その理由は何なのだろうか。調査結果を詳細に見てみると、池袋の利点と弱点が見えてきた。
 まず、住みたい沿線ランキングから見てみよう。関東で最も住みたい沿線はシングルの男女、DINKSの男性では第1位「JR山手線」である。しかし、DINKSの女性、ファミリーの女性では1位が東急東横線であった。年齢を経るにつれ、女性は交通利便性よりもブランド力のある街に住みたいという心理が表れている。
 では、住みたい街(駅)ランキングではどうか。シングルでは1位吉祥寺、2位池袋、3位恵比寿という結果に。独身世帯の中では池袋が第2位なのだ。特にシングル男性では第1位に輝いている。しかし、シングル女性では第5位と、やや敬遠されている。安心・安全なまちを目指している豊島区、池袋の課題としては、女性をいかに惹きつけられるかが課題として浮き彫りになっている。
 新婚世帯を中心としたDINKSでは、池袋は20位。内訳としてDINKS男性で17位、DINKS女性では26位である。男性では「品川・渋谷・東京」など、交通利便性の良い街(駅)がランクインしており、女性では「中目黒・自由が丘・二子玉川」など、おしゃれで街歩きが楽しめる街がランクインしている。この世代による支持を取り付けるためには、家電量販店だけではダメなのだ。
 子育てをしているファミリー世帯では、池袋が5位に。ファミリーの男性では第2位、ファミリーの女性では第7位にランクインしている。交通利便性に加えてレジャー、飲食の街として池袋は認められていることがわかる。
 池袋は新宿に次ぐ巨大ターミナルで、乗降客数は日本では第2位である。利用者数の点では世界的にもランキングされている。終電が遅くまで動いている山手線沿線ならばシングルは夜遅くまで遊び回れる。交通利便性が高ければ、日々の通勤・通学にも、色んな場所へ遊びに行くのも便利である。気になるのは、池袋の鉄道4事業者はいずれも埼玉方面に延伸しているため、埼玉県民からの組織票が入っているのではないか?という点である。
 居住都県別のランキングを見てみると、東京都民では池袋は第4位、やはり埼玉県民では大宮に次いで池袋が第2位にランクイン。神奈川県民、千葉県民、茨城県民を対象とすると池袋は圏外であった。
 住みたい行政市区ランキングではどうか。豊島区のランキングは、シングルでは総合第14位、DINKSでは総合第19位、ファミリー総合では圏外となっている。どの世帯構成でも世田谷区がダントツの第1位という結果になった。豊島区という行政市区が魅力的なのではなくて、あくまで池袋の駅に対する魅力が今回のアンケート結果でわかる。豊島区は日本有数の人口密集の街で、一人当たりの公園面積は東京23区の中で最下位である。平成21年時点では緑被率は12.9%と23区の中で19位である。豊島区は面積の小さい割に商業地が多いため、必然的に緑が少ない街並みとなっている。区としての魅力を高めるためには、自然環境との調和、憩いの場が必要で、豊島区では現在、グリーンとしま再生プロジェクトが行われているが、残念ながらこうした取り組みが未だ実を結んでいるとは言い難い状況である。
 池袋の利点としては、圧倒的な交通利便性がある。副都心線の延伸により、池袋駅のターミナル性はさらに高まった。しかし通過駅、乗換駅としての機能が拡大されたのであれば、この街の事業者としてはあまり歓迎できない。駅から街に出れば、アニメ・漫画関係のグッズ専門店のほか、サンシャイン60など遊ぶ場所が多い。またビックカメラにヤマダ電機、一つの駅で豊富な在庫の大手家電量販店を回ることができる。また多種多様な飲食店群が駅ナカ、駅ソトには展開しており、外食には一切困らない。デパートも東に西武、西に東武と備えており、高額品の買い物にも便利だ。こうした利点を活性化させるよう、街に回遊性を持たせる施策が重要である。点在する街の資源を結ぶ施策、具体的には駅ナカから駅ソトへの導線の確保、自転車でも移動できるよう各所に駐輪場の整備、東口と西口を結ぶデッキ構想の実現、LRTの導入、池袋の現庁舎跡地の有効利用に期待したい。
 最後に重要なことは、このアンケートの結果は今現在、池袋に住んでいる者を対象とするのものではなくて、これから住みたいと思っている者を対象としているということ。あくまで住んでいない者によるイメージの結果であることだ。この20歳~49歳が抱いているイメージを活かしつつ、すべての世代に受け入れられるためには、「おしゃれな街」としてのブランド力創出かもしれない。不動産鑑定士としては、平成26年度地価公示の結果についても触れたいところではあるが、紙面の都合次の機会としたい。

投稿日:2014年6月18日

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